私が就職活動をしていた時のこと。ある企業の人事担当者との面接で志望動機を聞かれました。絶対に聞かれると思っていたので「その会社と同業他社との違いを挙げて、そこに惹かれて志望した」と事前に答えを用意し、その内容を話している途中でした。「自分の言葉で語ってほしい。誰でも言えるような答えじゃなくて、君個人の経験や思いからなぜそう思ったのかが聞きたい」と指摘を受けたんです。頭の中で用意していた答えをゼロにしなくてはならず、とても当惑したのを憶えています。
採用担当として働くようになって、あの時の言葉の意味が分かってきました。面接は用意したものを披露する場ではありません。誰もが驚くような経験をしているとか、話を流暢に語れるとか、そうした独りよがりな場ではなく、互いを理解し合おうとする場なんです。だから当社の面接で聞いてはいけない質問はありません。
コロナ禍になってから、採用活動もリモートスタイルが主流になってきました。これまでのように会社や社員を実際に見ていただいて、リアルなコミュニケーションを取りづらくなったことに寂しさを感じていますが、お互いを理解し合うという本質は変わりません。「自分はどうありたいか」あなたの素直な思いを私たちにぶつけてください。